
新婚夫婦の貯金は平均いくらあるのか、最新の調査データから20代・30代別の平均値と中央値を整理しました。あわせて、貯蓄の目的別の目安、ふたりに合う貯め方の選び方、最初の一歩の踏み出し方まで、これから貯蓄を始めるふたりに向けてお届けします。
結婚生活が落ち着く頃、他の新婚夫婦はどのくらい貯金しているのか気になる方も多いでしょう。
・自分たちの貯金額は、平均と比べて少ない方なのか多い方なのか
・これから出産や住宅購入を考えると、いくら貯めておけばいいのか
・共通口座にするか、別々で貯めるか、まだ決められずにいる
平均額を知りたい気持ちの裏には、「うちは大丈夫だろうか」という不安があるものです。
けれど、平均値はあくまで一つの目安です。ふたりの収入、住む場所、これから望む暮らしによって、必要な貯蓄額も、貯められるペースも変わります。
この記事では、新婚夫婦の貯金の最新データを整理しつつ、平均と比べて焦るためではなく、ふたりの貯蓄ペースを決めるきっかけになる情報をお届けします。
新生活のお金の全体像も知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
新婚の生活費は月いくら?内訳とふたりで決めておきたいこと
新婚夫婦の貯金、平均はいくら?

新婚カップルの貯蓄額
大手結婚情報サイトが2011\~2022年に結婚2年以内の20代・30代のカップルに行った調査では、ふたりの貯蓄額は次のような結果でした。
・20代の新婚カップル:平均約371万円
・30代の新婚カップル:平均約747万円
数字だけ見ると「そんなに?」と感じる方もいるかもしれません。
ただし、この平均値には注意したい特徴があります。
最も多いボリュームゾーンは、20代・30代とも「200万円未満」だった、というデータが同時に出ているのです。
つまり、平均値は一部の高額貯蓄カップルに引き上げられていて、実際には20代の半数以上が400万円未満、30代の半数以上が600万円未満という分布になっています。
「平均より少ないかも」と感じる必要はありません。
平均値と中央値、両方を見ると実態が見える
貯蓄額のデータを読むときに知っておきたいのが「平均値」と「中央値」の違いです。
・平均値:全員の貯蓄額を足して人数で割った金額。高額貯蓄層に引っ張られて高めに出る
・中央値:全員を順に並べたときの真ん中の人の金額。実感に近い数字とされる
金融経済教育推進機構の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、20代・30代の二人以上世帯の金融資産は次のとおりです。
| 年代 | 平均値 | 中央値 |
|---|---|---|
| 20代(二人以上世帯) | 約525万円 | 約125万円 |
| 30代(二人以上世帯) | 約1,096万円 | 約311万円 |
平均値と中央値の差が大きいことが、ひと目でわかります。 中央値で見ると、20代夫婦で125万円、30代夫婦で311万円が「真ん中」の貯金額です。
ちなみに、20代の二人以上世帯のうち約2割(21.6%)は「金融資産を保有していない」と回答しています。貯金がほとんどない状態から新婚生活をスタートすることも、決して珍しくありません。
「貯金が少ない」と焦らなくていい理由
平均値や中央値を見ると、自分たちと比較したくなります。
けれど、新婚の貯蓄額は、結婚するまでの環境で大きく変わるものです。
大切なのは、今の残高ではなくこれから「ふたりでどう貯めていくか」ということです。
何のために貯める?目的別の目安額

「いくら貯めるか」を考える前に「何のために貯めるか」を決めておくことをおすすめします。
新婚夫婦が向き合うことの多い貯蓄の目的を、目安額とあわせて見ていきましょう。
| 目的 | おおまかな目安額 | いつまでに |
|---|---|---|
| 生活防衛資金 | 生活費の6か月分(150〜200万円程度) | できるだけ早く |
| 出産・育児の準備 | 50〜100万円 | 出産を考え始める頃 |
| 住宅購入の頭金 | 物件価格の1〜2割 | 購入時期に合わせて |
| 老後資金 | 1,500〜3,000万円 | 退職までに長期で |
| ふたりの楽しみ | 任意 | 都度 |
まず最初に整えたい「生活防衛資金」
新婚で最初に目指したいのが、生活防衛資金(生活防衛費)です。
生活防衛資金とは、病気・けが・転職・収入減など想定外のことが起きたときに、生活を立て直すまでの間を支えるお金のことです。
目安は、毎月の生活費の6か月分。
生活費が月25万円のふたりなら、150万円が一つの目安になります。
これがあるかないかで、不測の事態に対する心の余裕が大きく変わります。
新生活が落ち着いたら、まずはここを目指すのがおすすめです。
子どもを考えるなら、出産前後の準備金
出産・育児を視野に入れているふたりなら、出産までに50〜100万円ほどあると安心です。
出産費用そのものは、健康保険の出産育児一時金でかなりカバーされることがほとんどですが、マタニティ用品、ベビーグッズ、産後の収入減への備えなどが必要になります。
住宅購入は、購入時期から逆算する
住宅購入を考えているなら、物件価格の1〜2割を頭金として準備するのが一般的です。
3,000万円の物件なら300〜600万円。
これに加えて、諸費用(物件価格の5〜10%)も必要になります。
ただ、最近は頭金なしで住宅ローンを組む選択肢もあります。
「いつ買うか」「どんな物件か」がまだ見えていないなら、ひとまず生活防衛資金を優先し、住まいの方針が固まってから本格的に貯め始めても遅くありません。
老後資金は、いまから少しずつでOK
「老後2,000万円問題」という言葉を聞いて不安になる方もいるかもしれません。
ただ、老後資金は20代・30代から焦って積み上げるものではなく、長い時間をかけて少しずつ準備するものです。
新婚の段階では、月数千円〜1万円程度をiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAで運用に回しておくだけでも、複利の効果で数十年後には大きな差になります。
完璧を目指すより、リスクもあるため無理のない範囲で続けられる金額で始めることが大事です。
「ふたりの楽しみ」のための貯蓄も忘れずに
将来への備えだけで貯金の目的を埋めると、家計が窮屈になります。記念日の旅行、節目のお祝い、特別なディナー。ふたりが「これがあるから頑張れる」と思えるお金の使い道を、貯蓄計画の中に残しておくことも大切です。
毎月の貯蓄の一部を「楽しみ用」として分けておくと、生活全体に張りが出ます。
ふたりに合う貯め方を見つける
貯蓄の管理方法、4つのパターン
新婚カップルが選んでいる貯蓄の管理方法には、いくつかのパターンがあります。
前述の大手結婚サイトの調査でも「特に決まった方法はない」と答える人がいちばん多いものの、ある程度の方法を決めている人の中では次のような分布になっていました。
・共通口座方式:ふたりで一定額ずつ出し合い、共通の口座に貯める
・項目別分担:「家賃は夫、貯蓄は妻」のように担当を分ける
・それぞれが別に貯める:お互いの口座で個別に管理する
・片方の収入をまるごと貯蓄に回す:もう片方の収入で生活する
どの方法も一長一短です。自分たちの収入、価値観、お金の管理が得意かどうかで、合う形は変わります。
共働きで「貯まりやすい」のはどの方法?
では、どの方法が貯金が貯まりやすいのでしょうか。
これは「片方の収入をまるごと貯蓄に回す」方法が、いちばん貯まりやすいとされています。
理由はシンプルで、生活費が片方の収入の範囲に自然と収まるからです。
ただし、この方法はお互いの収入をオープンにすることが前提で心理的なハードルを感じるふたりもいます。
「同じ家計から出している」感覚が強くなるので、お金の透明性を重視するふたりに向いています。
逆に、それぞれの自由度を尊重したいふたりなら、「共通口座方式」のほうが続けやすいかもしれません。
正解はひとつではなく、ふたりがストレスなく続けられる方法が正解です。
「先取り貯蓄」が貯まる人の共通点
どの管理方法を選ぶ場合でも、共通して効果が大きいのが「先取り貯蓄」です。
給料が入ったらまず貯蓄分を別の口座に移し、残りで生活する。
この順番にするだけで、貯まる速度が大きく変わります。
「余ったら貯める」という発想だと、たいてい余りません。
生活費は使える分だけ使ってしまう性質があるからです。
具体的には、銀行の自動入金サービスや財形貯蓄、勤務先の天引き貯蓄などを使うと、意識せずに貯められます。
「貯める努力をしなくても貯まる仕組み」をつくることが、続ける秘訣です。
目安は手取り収入の15〜20%
新婚で子どもがいないうちは、手取り収入の15〜20%を貯蓄に回せると理想的とされています。ふたりの手取り合計が月45万円なら、毎月7〜9万円が目安です。
ただし、これも絶対の数字ではありません。
家賃が高い地域に住んでいる、奨学金の返済がある、新生活で大きな出費が続いているなど、状況によって無理なく回せる金額は変わります。
最初は5%から始めて、生活が落ち着いてきたら少しずつ割合を上げていく、というスタートでも十分です。
「新婚時代は人生最大の貯めどき」と言われる理由
よく言われるのが、「子どもが生まれる前の新婚期間は、人生最大の貯めどき」というフレーズです。
理由は、収入はふたり分ある一方で、支出はひとり暮らしの倍にはならないからです。
家賃も光熱費も、ふたり分を別々に払うより安くなります。
ただ、子どもが生まれると教育費がかかり、住宅を購入すればローンが始まります。
そう考えると、新婚の数年間が「自由に使える可処分所得が最も大きい時期」になりやすいと言えます。
このタイミングで貯蓄の習慣をつくっておくと、この先のライフイベントで選べる選択肢が増えます。
逆に「収入があるからつい使ってしまう」と気づかないうちに過ぎてしまうと、後から取り戻すのが大変になります。
始めるなら、いまの小さな一歩から
貯蓄の話は、考え始めると壮大になりがちです。「老後までに2,000万円」「住宅に頭金600万円」と並ぶと、途方もない金額に見えます。
ただ、貯蓄に必要なのは、いきなり大きな目標を立てることではなく、今日から始められる小さな一歩です。
・給料日に5,000円だけ別口座に移してみる
・使っていないサブスクをひとつ解約する
・ふたりの貯蓄目標を1つだけ、紙に書き出してみる
・NISA口座を開設だけしておく(運用はあとからでも大丈夫)
どれも、その日のうちに始められることです。完璧な家計管理を目指す前に、まず動き出すことのほうが、ずっと大事です。
ふたりで「お金の話」をする時間を持つ
最後にひとつ。
貯蓄は、片方が頑張るだけでは続きません。
ふたりで定期的に「いまの残高」「これからの目標」を確認する時間を持つと、自然と意識が揃ってきます。
月に1回、30分で構いません。
先月の貯蓄額を一緒に確認し、「来月はもう少し増やせそうか」「使いすぎた項目はなかったか」を話す。
この時間そのものが、ふたりの将来を一緒に考える習慣になります。
まとめ|平均は地図、ゴールはふたりで決める
新婚夫婦の貯金額は、20代で平均約525万円・中央値125万円、30代で平均約1,096万円・中央値311万円。平均値と中央値の差が大きく、「みんなの実感」は中央値のほうに近いのが実態です。
平均額と比べて少なくても、焦る必要はありません。
スタート地点も、目指す暮らしも、ふたりごとに違うからです。大切なのは、
・まず生活防衛資金(生活費6か月分)を整える
・何のために、いつまでに貯めるかをふたりで話す
・自分たちに合う貯め方を選び、先取り貯蓄の仕組みをつくる
・月1回、ふたりでお金の話をする時間を持つ
このあたりを押さえておくと、貯蓄は無理なく続いていきます。
新婚の時期は、収入と支出のバランスを整える「人生最大の貯めどき」とも言われます。
ただ、貯蓄だけが人生の目標になると、暮らしから楽しさが失われてしまいます。
将来への備えと、いまを楽しむお金の使い方。そのバランスをふたりで決めていけることが、長く続く家計の秘訣です。
結婚にまつわるお金は、生活費や貯金だけでなく、住まい、結婚式、記念日のジュエリーなど、複数の軸があります。全部を完璧に整える必要はなく、ふたりの優先順位を確認しながら、ひとつずつ形にしていけば大丈夫です。
迷ったときは、平均額を眺めるより、ふたりで話す時間を増やすことから始めてみてください。
