戸籍謄本とは？取り方・抄本との違い・費用・必要書類までやさしく解説

婚姻届を役所に提出して入籍の手続きを行うときに、戸籍謄本が必要になる場合があります。そこで当記事では、戸籍謄本と戸籍抄本の違い、戸籍謄本の取り方、戸籍謄本の有効期限についてご紹介します。また、戸籍謄本以外の入籍にあたって準備することも、あわせてチェックしていきましょう。

この記事でわかること・戸籍謄本とは？

婚姻届を役所に提出するとき、ふたりの本籍地が婚姻届を出す地域とは別の場所にある場合、戸籍謄本を用意しなければなりません。そして、戸籍謄本を用意するときに、同じような名前の「戸籍抄本」の存在に気づくでしょう。

戸籍謄本とは？結婚準備でなぜ必要？

戸籍謄本の「謄」という字には、「原本を書き写す」という意味があります。つまり、「戸籍謄本（こせきとうほん）」とは、「戸籍に記載されている家族全員の事項の写し」のこと。戸籍謄本では、その戸籍に記載されている家族全員の家族関係が明らかになり、全員の身分事項を証明します。「戸籍全部事項証明書」や「全部事項証明書」とも呼ばれます。

今まで、婚姻届を提出する際に必要でしたが、2024年3月1日より戸籍謄本の提出は不要になりました。これは、戸籍謄本が電子化されて情報のやり取りが役所間で可能になったためです。しかし、戸籍の電子化に対応していない役所もあるので、その場合はこれまで通り戸籍謄本の添付が必要となる可能性があります。

また、婚姻届に記載する本籍を調べる場合は、戸籍謄本などが必要になります。

戸籍抄本との違いは？【表で比較】

戸籍謄本も戸籍抄本（こせきしょうほん）も、どちらも戸籍簿の写しです。ただし、戸籍謄本は「全部事項証明書」と呼ばれるように全部の写しであるのに対して、戸籍抄本は一部の写しとなります（「個人事項証明書」と言われます）。戸籍が必要になる多くの手続きで、戸籍抄本ではなく戸籍謄本が必要になります。

	戸籍簿の写し範囲	必要な場面
戸籍謄本	全部	パスポートの発行、相続の手続き
戸籍抄本	一部	年金の請求、国家資格の受験・登録、生命保険や簡易保険の請求など

婚姻届の書き方や必要書類については詳しくはこちら

戸籍謄本の取り方4パターンと必要書類

戸籍謄本は、どのように取得すればいいのでしょうか？戸籍謄本の取り方は5つあるので、自分に最適な方法を選ぶといいでしょう。

窓口での取得（市役所・区役所）

もっとも簡単で時間がかからないのが、ご本人が役所に出向く方法です。本籍のある役所に行き、窓口にある「戸籍申請書」に必要事項を記入して、署名と押印し発行手数料450円を支払えば、その場ですぐに受け取れます。

その際、本人確認書類が必要となりますので、運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの身分証明書と印鑑を忘れず持参しましょう。

本籍地が、現在住んでいる場所から近い方なら、この方法が一番便利です。

郵送での取得

戸籍謄本は、郵送で取り寄せることもできます。

役所のウェブサイトから「戸籍申請書」をダウンロードして、必要事項を記入します。そして、本人確認書類の写しと、手数料分の定額小為替、返信用の封筒（切手を貼っておく）を同封して、戸籍のある役所宛に郵送します。郵送での取り寄せ方法の詳しい内容については、各自治体のウェブサイトで確認しましょう。

郵送で戸籍謄本を申請し、それが郵送で手元に送られてくるまで、時間がかかることとなりますから、その分の時間を見越しておく必要があります。

本籍地が遠方にあり、代理で請求を依頼できる人がいない場合に、この方法を利用するといいでしょう。

代理人による取得

ご本人が遠方にいたり、忙しかったりする場合、代理人が本籍のある役所に出向いて戸籍謄本を取得することができます。

この場合は、委任状を用意する必要があります。委任状は、用紙やフォーマットは自由ですが、下記の内容をインクが消えないペンを使って、はっきりと記載しましょう。

• 委任状作成日
• 代理人の氏名と住所
• 委任の内容（戸籍謄本の代理請求）
• 委任者（依頼する方）の氏名と住所

委任状のほかに、印鑑と代理人の本人確認書類、手数料も必要になります。各自治体のウェブサイトに、委任状の書き方やダウンロードできるフォーマットを用意しているところもありますので、参考にしてみてください。

委任状を作るひと手間が必要になりますが、本人が役所に出向けず代理請求を頼める人がいる場合は、この方法を利用するといいでしょう。

オンライン申請（マイナポータル）

マイナンバーカードと、スマホやパソコンとカードリーダーがあれば、戸籍謄本を自宅でオンライン申請することが可能です。申請後、手数料等を支払うと1週間ほどで指定した場所に届きます。支払い方法はクレカかスマホ決済なので、郵送で取り寄せるよりも早くて簡単です。

コンビニで取得

戸籍謄本や住民票などのコンビニ交付を行う自治体が増えてきています。本籍のある自治体がコンビニ交付に対応しているなら、コンビニで戸籍謄本を取得できます。

コンビニでの交付は、マイナンバーカードまたは住民基本台帳カードを持っている必要がありますが、役所の窓口が閉まっている夜間や早朝、週末でも取得できるため、とても便利です。また発行手数料が、窓口の場合より安くなるケースがあります。

まずは、本籍のある自治体がコンビニ交付を行っているか確認するといいでしょう。この方法なら、自分の時間があるときにいつでも戸籍謄本を取得できます。

取得場所・方法	必要書類	費用	所要時間
窓口	戸籍申請書（窓口で記入）、身分証明書（運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど）、印鑑	450円	即日
郵送	戸籍謄本の請求用紙、身分証明書のコピー、交付手数料（定額小為替または現金書留）、返信用封筒（切手付）	450円＋往復分の送料	1～2週間
代理人	代理人の身分証明書、委任状（請求者本人の自署または押印）、印鑑	450円	即日
オンライン申請	マイナンバーカード、スマホまたはパソコンとカードリーダー、クレジットカードまたはスマホ決済	450円＋送料	1週間
コンビニ	マイナンバーカードまたは住民基本台帳カード	450円	即日

戸籍謄本取得時の注意点と失敗談

婚姻届を提出したい日程を決めている方は、戸籍謄本を早めに準備するのがよいでしょう。即日発行されるからとコンビニで取得しようとしたら、コンビニでの発行に対応していない地域だったということも。そんなことが起こらないように、戸籍謄本を取得するときの注意点をご紹介します。

有効期限や記載内容の確認

もし、以前に取得していた戸籍謄本が手元にあった場合、婚姻届の提出時に使えるのでしょうか？

戸籍謄本には基本的に有効期限はありません。しかし、兄妹が生まれて家族が増えたり、兄妹が結婚して戸籍から抜けたりした場合、戸籍の記載内容が変わることとなります。

交付日から1ヶ月程経った戸籍謄本については、戸籍の内容に変動がないことを役所が確認する場合もあり、確認に時間がかかることがあります。そのため、婚姻届を提出するときに戸籍謄本を取り寄せて、それと合わせて提出することが望ましいでしょう。

本籍地以外で取得できる？

2024年3月1日の戸籍法改正によって、これまで本籍地でしか取得できなかった戸籍謄本が全国どこからでも取得できるようになりました。

ただし、本人による請求のみしか認められないため、本籍地以外で戸籍謄本を取得するには本人が直接役所に出向かなくてはいけません。

【体験談】婚姻届で書類不備→再取得になった話

婚姻届を提出する日が、「婚姻成立日」となります。週末や夜間に提出した場合でも、この提出日がふたりにとっての入籍日となりますので、いつ提出するかふたりで考えて決めましょう。

ただし、提出書類に不備があったり、必要なものが揃っていなかったりすると、最悪の場合は受理してもらえない可能性もありますから、事前に記入内容や必要書類を入念にチェックしておきましょう。よくある例は、氏名や住所などの書き間違いです。

自身の誕生日に婚姻届を出しに行ったAさん、しかし氏名に不備があり書き直しが必要に。Aさんの場合、戸籍上の氏名に旧字体が使われていたのですが婚姻届には普段使っている新字体で書いてしまったようです。印鑑を持参していなかったのでその場で修正することができず、結局、婚姻届を提出したのは次の日でした。

このように、とくに戸籍上に登録されている氏名に旧字体や異体字が使われている場合は注意が必要です。婚姻届は1枚だけでなく2～3枚準備し、すべてに証人のサインをもらっておくと不備があったとしてもその場で書き直すことができるので安心でしょう。また、時間があれば事前に役所で確認してもらうのもよいでしょう。

よくある質問（FAQ）

※本FAQは法務省・マイナポータル等の公式情報を参考に、4℃ブライダル編集部が監修しています。

Q. 戸籍謄本と戸籍抄本の違いは？

A. 戸籍謄本は家族全員の記載、抄本は本人または一部の人のみの記載となります。手続き内容に応じて使い分けます。

Q. 誰が戸籍謄本を取得できますか？

A. 本人・配偶者・直系親族（親・子）などが取得可能です。代理人による取得もできます。

Q. 戸籍謄本の費用はいくら？

A. 全国一律450円です。郵送の場合は定額小為替で支払います。

Q. 結婚で必要なのは戸籍謄本？抄本？

A. 一般的に戸籍謄本が必要です。ただし、2024年3月以降は多くの場合で提出不要となっています。

Q. オンライン申請の手順と注意点は？

A. マイナポータルからマイナンバーカードを使って申請できます。約1週間で郵送されます。

まとめ・次のアクション

婚姻届を希望日に提出するためには、書類の準備や記入内容の確認が大切でした。不備や漏れがあると希望日に受理してもらえず、せっかくのふたりの新しい門出がスムーズにいきません。そんなことにならないように、しっかりと準備をしておきましょう。

さて、無事に婚姻届が受理されたら、次は両親の顔合わせや結婚式場探し、新居探しなど、ふたりの新たな生活に向けての準備が目白押しです。それぞれ、調整や準備が必要なので、早めに取り組んでふたりで協力して進めていきましょう。

戸籍謄本の取得後は、入籍に向けた手続きを進めましょう。詳しくはこちら

婚約中にやるべき準備についてはこのガイドも参考になります